君の笑顔
私の笑顔
二人の笑顔
ずっと
ずっと
すきだったよ




今でも























あの日から
かぶのは
いつも決まって






























人ごみをすり抜けて、電車に乗った。
夕方の今の時間帯は下校の学生や、仕事帰りの人たちで、
車内は多少込み合っていたが、私は座ることが出来た。
教科書だらけでやたら重い鞄をひざの上に置き、ドアが閉まった。




卒業してから地元を離れ、私は関西の大学に通っている。
二ヶ月も経てば一人暮らしもすっかり慣れてきた。
料理だってちゃんと出来るし、洗濯だって出来る。
駅前でのバイトも決ったし、大学に友達だって出来たし、サークルにも入った。
何ひとつ不自由な事などない。




目線を前にやると、外の風景が見えた。
入学した当時はこの通りは桜が咲いてとてもきれいだった。
眠気を誘うかのように、電車は心地よく揺れていく。




制服という物がなくなってからは、私服に少し困っている。
このスカートだって去年買ったもので、新しいのが欲しい。
帰りに本屋にでも寄って、ファッション雑誌でも買っていこうかな。




そして、ドアの前の高校生のカップルに目が行った。
制服というものが少し恋しく感じた。
女の子がはいているチェックのスカートがすごく可愛かった。
会話は聞こえなかったけど、二人は何やら楽しそうに話している。
そして女の子が何か冗談を言ったのか、
男の子が笑いながら女の子の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
男の子も、女の子も嬉しそうに笑い合っていた。
女の子のピンクの笑い声が聞こえた。




一瞬、女の子と眼が合った気がしたので、慌てて目をそらした。
変な人だと思われたかもしれない。
正直、うらやましかった。
前に同じような光景を見たときに友達が「うざい」と言っていた。
私は合わせて「ほんとうざいよねー」って言ったけれど、
本音はちょっとだけ、うらやましかった。




私もあんな風に可愛く笑えたら。
私もあんな風ににっこりと笑えたら。
もう少し素直になれたら、
ちゃんと、好きって言えたのかな。





また、さっきの高校生に目をやった。
相変わらず楽しそうに話していた。
ドアに寄りかかりながら話す制服の男の子を見ていると、
あの日、最後に見た制服姿の君が新鮮に頭の中に思い浮かんだ。
君は今頃、専門学校に通って頑張っているだろうか。
バイトもまだ続けているのだろうか。
卒業式の日に、私が泣くことばかり期待していた君。
君の胸元の花は確か、まがっていた。
赤いじゅうたんの上を歩く時、私は君に背を押された。
今でも忘れられない。
卒業証書の筒を振りながら、挨拶をしていた君が。
あいにく私の住む町には、舞妓さんはいないんだ。
あの時は、思い出になんて出来やしなかった。
でも2ヶ月たった今でも、君は思い出になってはくれないね。




君の中の私は思い出になりましたか?
その思い出の中で私は、どんな顔をしていますか?














春はもうぎたけれど、













ぼんやりとしていると、ドアが開き、高校生は二人とも降りていった。
ホームに出た女の子と目がちらっと合った気がした。
だから私はにこっと笑った。
名前も知らない女の子に。
あの時、君に向けた笑顔と同じように。
女の子は不思議そうな顔をしていた。
そしてゆっくりと電車が動き出し、女の子は見えなくなった。
私も次の駅で降りる。
そうだ、本屋に言って雑誌を買わなくては。
























あの名前も知らない女の子に、
いつまでも
幸せな
が続きますように。






















※判ったと思いますが、なんかの話とリンクしてます。

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