ゆ ぎ き り


げ ん ま ん 



う そ つ い た ら 



は り せ ん ぼ ん 



の ー ま す 



ゆ び き っ た



ゆ び き っ た ・ ・ ・  




















永遠に覚めない夢があるとしたら たどり着けるね君の所へ






































































































君との出会いはたった数分の遅刻から始まった。
高校生活の始め入学式の次の日から私は遅刻をしていた。
遅刻なんて中学からの十八番だけど。
新学期といったら出会いの季節、桜。
でも今は、風が強くて全然桜どころじゃない。
せっかくきれいに咲いた桜も無残にも散ってしまっている。
8時40分をたった3分過ぎただけで校門はしまっている。
これが新入生を歓迎する態度ですか?
でも結局は遅刻した自分が悪いので更に腹が立つ。
責任が他人に無いとき、自分のせいで物事がうまくいかないと
他に当たり様がないので余計に腹が立つものだ。
それに今の状況は私ではどうにもしようもない。
とりあえず校門の前にしゃがみ込む。
もしかしたら親切な用務員さんが私を見つけて門を開けてくれるかもしれない。
校門に寄りかかり足を伸ばす。
下を向くと買ったばかりの水色のスニーカーが汚れていたのに気づいた。
スカートは嫌い、だってすっごく動きにくい。
別にスカートなんて汚れても構わない。
親切な人がいたらパンツ見えますよって注意してくれるかもしれない。
でも下にスパッツ履いてるから見えないもの。







































「君も遅刻?てかパンツ見えるよ。」
























上から見下ろすように誰かに声をかけられ、ふと顔を上げた。
見上げた目線先に立っていたのは、同じ学校の男子生徒、と青空。
あ、風は強いけど今日は青空だ…とたった今気づいた。
その男子生徒は赤いネクタイの色からして同じ学年くさい。
肩にかけたスポーツバックにやたら派手な運動靴。
オレンジの頭がやたら目だっていた。
そしてそいつは、私の許可も無しに黙って私の横に座った。














「ねぇ、君も遅刻?」
こいつは私の顔を覗き込むように話し掛けてきた。
私は見も知らぬ人に馴れ馴れしくされるのはあまり好きではない。
「……誰?」
「質問に答えてよ。遅刻したの?」
「……見れば分かるでしょ。」
「はいそうでした!」
私の冷たい態度にも関わらず、こいつはリズムよく会話を進めていく。
「じゃあ次はあたしの質問。君誰?」
「俺?俺は1年3組三井ジュン。ミッチーと呼んでくれ。」
「は?ミッチーより流川だし。(しかも同じクラスだし)」
「何言ってんだよ!ミッチーなしでスラダンが語れるか!」
「あたし流川が一番だもーん。君アレでしょ?スラダンに憧れてバスケ部入るってやつ?」
「違うよ、俺は小学校からずっとバスケ一筋だよ。」
「だから結局バスケじゃん。」
「べ、別にスラダンに憧れたからじゃないし!(そりゃちょっとは影響されたけど!)
 中学でも県大で優勝とかしたんだぞ!」
「ふーん…。キャプ翼にはまってたらサッカーって訳か。」
「違うってばー…てか君の名前は?」
「あたし?あたしは…原田ミナミ。」
「へ〜…ミナミかぁ〜。ミナミは新体操とかやってるの?」
「やってないし。ってか気安く呼ぶな!(今度はタッチかよ)」
「いいじゃん、いいじゃん。」









1時間目の始まりのチャイムが鳴った。
私は能天気なこいつのせいで今の状況を忘れかけていた。
優しい用務員さんは結局来ない。
「君さ、今の状況わかってる?」
「………そりゃあ。」
「(なんだその間は)あたし、中に入りたいんだけど…。」
「う〜ん…それが問題だよね。」
口では考えているようだけど、絶対考えてなんかいない。
大体なんだ。入学式もこのきちがいみたいな頭で出たのかこいつは。
絶対に先輩達に体育館の裏に呼び出しされて、なんだこの頭はってぼこられるね。
「…ん?何?俺の顔になんかついてる?」
「え?い、いや…よくそんな派手な頭できるなぁと思って。」
「え?…これ?これ地毛だよ。」
「え!本当に?そんなオレンジなのに?」
「本当って言われても…嘘ついたって何の特にもならないでしょ。」
「そりゃあ…。」
「俺のじいちゃんメキシコ人だからね。ほら、んな事どーでもいいからよじ登るよ!」
「は?マジで言ってるの?(メキシコって何)」
「当たり前じゃん!スパッツ履いてるでしょ?」
「(見たんだこいつ…)」
三井ジュンは頑丈そうな校門をよじ登り始めた。
…さすが運動部。




























「よう三井。おめー何初日から遅刻やらかしてんだよ。」
「お?高橋じゃん!いやー今日はね、制服間違えちゃってね。」
「うそこけ!あ、お前一緒に来た女誰だよ?」
「え?あーミナミ?ちょっと待って。おーーい!!ミナミーー!!」









休み時間といっても私は周りの女子と話すこともなく、一人で外の風景を眺めていた。
遅刻してしかもあんな奴と一緒に教室に入っていったものだから、
クラスメイトに変な印象を与えたに違いない。
そんな事を考えていたら遠くの席の三井ジュンが、急に私の名前を呼んだ(しかもまた呼び捨て)。
「おーい!ミナミ!ちょっと来てよ!」
「なっ…」
三井ジュンは遠くから笑顔で手招きして私を呼んでいる。
隣には一人の男子生徒がいる。三井ジュンの友達だろう。
あいつの大きな声のせいで私はクラス中の注目の的だ。
みんな見ないで!私あんな奴知らないから!知らないから!見ないで!見るなって言ってんだろ!







「何…?」
私は仕方なく席を立ち奴の所へ行ってやった。
私が奴の席へつく頃には、クラスメイトの視線は向けられていなかった。
「ほら、高橋。こいつミナミ。えーと…苗字…えーっと朝倉ミナミ。」
「ちげぇよ!!!原田ミナミです。」
「えー…と、さっき三井と一緒に登校して来た人だよね?」
「ううん。教室の前であっただけ。別に知り合いでもなんでもない。」
「ひどいよミナミ!!」
「そうなん?俺高橋。高橋明。よろしく。」
「よろしく…。」
三井ジュンを無視して高橋君との会話が進んだ。
私は同じ年代の女の子とどうも合わなかったから、男の子の方が話やすかった。
私にはお兄ちゃんが2人いるから、着る服もお兄ちゃんのお下がりで男物だった。
家にある漫画もジャンプとかばっかりだったから、女の子の漫画の話にはついていけなかった。
だって私がドラゴンボールの話をしても、回りの女の子は絶対に判ってくれない。
あのトランクスを差し置いて、TVに出てるアイドルを格好いいと騒いでいる。
私は美香ちゃんの新しい彼氏自慢よりも、今週のジャンプの続きが読みたくって仕方がないのだ。
そんな私だから、こいつと気が合ったのかもしれない。
そしてもうこいつと3回目の春を迎えた。






































































「なーミナミー。」
「何よく聞こえないー。」
2ケツをして下校。車のすぐ隣を走る危険を冒険をしながら道路を走る。
今日からテスト前だから、ジュンは部活がなく暇らしい。
とか言いつつ、自転車の前カゴには鞄とバスケットボールがちゃっかり入っている。
どうせ雨で帰れないと言ったので、私の数学補習(強制)を待っていてもらった。
ジュンは何故か頭がいいから補習とかには絶対に引っかからない。
さっきまで雨が降っていたせいで、道路はびしょ濡れ。
水溜りを車輪が通過する度に足に水がはねそうになる。
それよりか車が横を通過する度に足を上げて水はねを防御した。
横を走る車の音がうるさくてジュンの言っている事がよく聞こえない。
だから自然とお互いの声も大きくなる。
「だからー」
「うんー」
「俺さ、今年の秋でーバスケ部引退じゃーん」
「えー運動部は夏じゃないのー」
「だって俺絶対全国行くからさー」
「あー、そーだねー」
「でさー全国制覇して帰ってきたらさー」
「おー」
「俺とさー」
「えー!なにー?聴こえない!!」
「あ!!!!!!!!」
急にジュンが自転車のブレーキをかけた。
私は衝撃でジュンの背中に思いっきりぶつかった。
「痛!な…何?なんで急に止まるの?」
「見てみ!そら!空!」
「え?」
私は言われるがままジュンの指差した方向の空を見上げた。
その空は初めてジュンと校門で会った時に見上げた青空に似ていた。
だけど今は、空はおまけにしかすぎない。
ジュンの指差したこの空には大きな虹がかかっていた。
虹はくっきりとした七色で空にかかり、私達を見下ろしていた。
私はこんな大きな七色の虹を見たことがなかった。
「うわぁ…きれーい…」
「すっげー俺、こんなきれいな虹はじめて見た!!」
「あたしも!良かったね、数学の補習があって!」
「だよなー!ミナミ、頭悪くてよかったね。」
「そういう事を笑顔で言わないで下さい、ジュン君。」
「まぁまぁ、そうだ!ねぇ、あの虹を渡って向こう側に行ってみようよ!」
「は?何考えてるの?ばかじゃなっ」
私が否定する前にジュンは自転車をこぎ出した。
「ちょっ、急に走り出さないでよ!!」
「めんごめんご。」
「ホントに行く気?ねえ?」
「俺はいつだって本気だーーー!!!」
「虹の上なんて渡れるわけないじゃん!」
「走れ!走れ!」
「ちょっとジュン、スピード出しすぎだよ!あぶない!」
「うしろうしろ!ケーサツケーサツ!!!」
「え?」
「まじ!逃げろ!!」
後ろからチャリンコに乗った警察のおじさんが怒鳴りながら追いかけてきた。
私は目に焼きつくほどきれいだったこの虹を、絶対に忘れない。
手を伸ばせば届きそうな、だけど届かない美しくすぐに消えてしまう…儚いあの虹を。


























なんとか警察のおじさんから逃げ延びて、私の家の近くの公園までやってきた。
「あ。虹が薄くなってる…。」
ジュンは自転車を止め、寂しそうに空を見上げ言い放つ。
さっきの虹はうっすらと空にかかり、先ほどと比べ弱々しく見えた。
「あ、本当だ…早いね、さっき出たばっかりなのに。」
「…そんなもんだろ。あーあのポリスのせいで俺の虹の橋を渡る計画が!」
「本気で言ってるの?」
「当たり前だろ。あ、そうだ。ミナミ、バスケしようぜバスケ!」
「えー…やだよ、疲れるもん。」
やだと言っているのにジュンは自転車のカゴからボールを取り出して、
慣れた手つきでドリブルをはじめた。
「あー…やっぱ地面が濡れてるから弾まないや。ミナミ!パス!」
「うわっ、」
ドリブルを止め私の方に魔球をぶん投げてきた。(正確にはパス)
濡れた地面に叩きつけるものだから、ボールが泥だらけ。
ついでにそれを投げたジュンの手も、それを受けとった私の手も泥だらけ。
「汚ー!どろだらけじゃん!」
「ははは、雨の後だからね。」
「あ、よーし。原田ミナミ!あの虹の向こうまでかめはめ波ぶっぱなちます!」
「え?何?何すんの?」
私はボールを持ったまま、肩をぐるぐる回し、大きく深呼吸…いわゆる準備体操をする。
「ちょ、ミナミ、何すんのさ、それ、そのボール大事なもの…判ってるよね?」
「もちろん☆」
「あーーーーーーーーーー!!!!」


























私が全力で放ったかめはめ波(ジュンのボール)は、一度は虹の出る空に舞い上がったものの、
引力だとか重力のせいで、虹を追い越す前にすぐに弧を描き地上に戻ってきてしまった。
もちろん私の手に戻ってきたのではなくて、知らない人の家の塀の中に落ちていった。
「あー…あたしのかめはめ波が…。」
「俺のボールが!!!」
「さすがに虹の向こうまで飛ばすのは難しかったね。
 ソフトボール投げ12Mのあたしにしては飛んだほうかな。」
「あの…ミナミ、俺っちのボール…」
「もしかしたらジュンが投げたら、あの虹、超えたかもね。」
「無理に決まってるじゃん!!どーすんだよ、知らない人の家入っちゃったよ…。」
「まあまあ。帰りにあたしが取ってきてあげるよ。」
「本当に?頼むよー…あー、あ、もう虹なくなっちゃったね。」
「儚いね…虹は。あんなにきれいなのに。」
「…また出るよ、雨降ったら。」
「そりゃそうだけど、さ。ジュンが部活ない日なんてテスト前しかないじゃん。
 あ!そう言えばさっき何か言ってなかった?」
「え?えええええええーっと…////////そんな話しましたかね?」
「何慌ててるの?!言ったじゃん!全国から帰ってきたらなんだーって。」
「あっと////そうでしたっけ…ミナミさんの元気球が当たって忘れてしまいました。」
「嘘つけ!かめはめ波だし!」
「まぁまぁ。それはさておきですね、」
「はい。」
「(うわー単純!)今度雨降って虹でたらさ、今度は絶対に越えるからな。」
「あの虹を?」
「そう。今度虹が出たら…まぁ部活中でも特別抜け出してきてやろう。」
「ホント?てかそういう事してるから監督に怒られるんだよ。」
「こないだ怒られたのはミスばっかしたからだよ!」
「俺こう見えてもサボった事ないんだよ?それをミナミのために言ってるんジャン。
 ミナミを後ろに乗っけて連れてってやるよ。あの虹の上に。」
「それはそれは。」
「そしたら今度こそ絶対に虹越えするからな。あ、ミナミ。重いと、こげないから痩せろよ。」
「な!!!!!!!」
「嘘だって。はい、ゆびきり。」
「はいはい。」




























ゆ ぎ き り


げ ん ま ん 



う そ つ い た ら 



は り せ ん ぼ ん 



の ー ま す 



ゆ び き っ た



ゆ び き っ た ・ ・ ・  



























泥だらけの手で私達は小指を結び、指きりをした。
いつもみたくジュンは笑って指きりの歌を歌っていた。
「ミナミ、手冷たいよー。」
ジュンはそう言ったけど、ジュンの手は暖かかった。
それと部活でつけただろうマメが山ほどあった。
練習頑張っているんだな…と改めて思った。
私達は結んだ小指を離した。
ジュンはいい加減だからよく約束を破る(というか忘れる)けど、
こればっかりは覚えていてくれる気がしていた。
君はいつでも笑っていた。
そう、いた…いたのだ。
あの日、あの電話がなるまでは。
































































































「…………何言ってるの、高橋。」
「俺だって信じたくねぇよ!いいから今から病院来い!」



























事故だった。
ジュンは部活帰りにトラックとぶつかったらしい。
私はいつも通りアニメを見ながら夕飯を食べていた。
その最中に、高橋から自宅に電話がかかってきた。
高橋の電話の後ろでは七時のニュースのイントロが流れていた。
あの時食べていた、あまりおいしくなかったレトルトのカレーの味は一生忘れられない。
確か放課後に明日は練習試合だとか言っていた気がする。
そしていつも通り私は「頑張れよ」って声をかけたんだ。
そしたらいつも通りジュンは「任せろ」って言って、いつも通り笑った。
いつもと何も変わらなかった。何一つ変わらなかった。
私の元気球が当たってもへらへらしてたやつが何。トラックごときで。





















すぐに病院に行った。
タクシーを拾った気がするけど、あまり覚えていない。
ロビーでジュンのお母さんが泣いていた。隣にお父さんも高橋もいた。
「あら…ミナミちゃん、来てくれたのね…ありがとう。」
「ジュンは、いや、ジュン君は…?」
「………。」
どうしてお礼を言われなきゃいけないのか、判らなかった。
ジュンのお母さんはそれ以上は話してくれなかった。
そしてすぐ、横にいたジュンのお父さんから詳しい事情を聴いた。



























冗 談 で し ょ


































私は学校も遅刻するし、髪も染めているし、とてもいけない子です。
受験生だというのに勉強も全然しないで、プレステ2ばかりやっています。
だから今、その罰で神様に悪い夢を見せられています。
ジュンを始め、ジュンの両親、高橋までもが一緒になって私を騙している。
神様はいるのだと実感しました。
もう学校も遅刻しません。
髪もちゃんと黒に戻します。
勉強もちゃんとします。
だからこんな冗談やめてください。
いくら神様でも、冗談が過ぎますよ、まったく笑えません。
天に向けてカメハメ波撃っちゃいますよ?
え?何?どうせ前みたく届かない?ははは…ふざけんな。



































あれから何日か経った。
私はどうやって過ごしていたのか、まったく判らない。
学校は行ったっけな…あれ、この服、あの時と同じだ。
ジュンの告別式はクラスの子だとか、部活の人とか、黒い服の人がたくさん来ていた。
私も親に用意された黒い服を着たけれど、この染めている髪は少し浮いている。
周りを見れば知らない学校の人とか、大人がたくさんいた。
きっとバスケ関係の人だろう。
ジュンはすごい奴だったと今ごろ感心した。
だった…って何。
それじゃまるで今、ジュンがいないみたいじゃないの。
額縁に飾ってある写真はユニフォームを着て、バスケをしている最中のジュンだった。
なんだよ、バスケなんていつもの事でしょ。
珍しくもなんともない、額縁に飾る価値もない。
写真の中のジュンはいつもの笑顔で本当に楽しそうだった。
私はあの日の高橋からの電話以来、初めてジュンを見た。
四角い箱の中で白い花に囲まれているジュンを見た。
顔に擦り傷がある…こいつ結構モテるのに、もったいない。
どうせ余所見しててボールが当たったんでしょう。
それに、なんだこいつ、私が遊びに来たのにふざけた事して。
仕方がないから元気球でもぶちかまして、起こしてやろう。
手のひらのマメを見ると、相変わらず練習頑張ってるんだ、って思った。
このスポ根野郎め。
邪魔くさい白い花を払い除けて、何気なく指切りをしたジュンの右手の小指に触れた。









あ、









その時、私は初めてジュンが死んだという事実を受け入れた。
ジュンの手は、とても、冷たかった。
私がその冷たい手をきつく握っても、決して握り返してくれることはなかった。
私は馬鹿だから判らないよ、人間の死、人間の儚さ、
トラックにぶつかったくらいで人はこんなにも簡単に死んでしまうの?
だって、ジュンは、
ジュンは人一倍練習頑張って、筋トレしてたじゃん。
マメが出きるほど練習頑張っていたんだよ、
体鍛えてたでしょう?
こんなの痛くもちっともないはずだよ。
人間ってこんなにも体温が低くなるものなの…?























どうしてあの時の指きりの後に私は、ジュンの手を離してしまったのだろう。

























泣くなんて事できなかった。
全てが空っぽで涙なんて出やしなかった。
泣くなんて余裕、私にはなかった。
それでクラスの女子が私の事を冷たい奴だと言っていたらしい。
本当にどうでもいい。
どうでもいい事ばかり考えた。
アインシュタインの相対性理論なんか考えてみた。
だけど3秒で判らなくなって辞めた。
どうして私がジュンのために泣かなきゃいけないの?
それじゃジュンがいなくなったみたいじゃん。
あれ、いないんだっけ…?
私はジュンと違って頭が悪いから、そんな事すぐ忘れちゃうよ…
てかどうやって泣くの?泣くって何?涙って何?
トラックにぶつかったって…さては、またどうでもいい事ばかり考えていたな。
まさか疲れてたとか言い訳する気?明日試合だろ。
君は最後に何を考えていたの?
まさか私の事を忘れてないよね?
ねぇ、痛かった?
トラックとぶつかった時、痛かった?
私の元気球とどっちが痛かった?
泣いた?
何を考えても、思い出しても…浮かび上がるのはジュンの笑顔だけだった。







































































何もかもが止まってしまった。


何にもない日常だった。


何にもなかったけど、君がいた。


太陽が東から昇って、西に沈んだ。


君が笑って、私も一緒になって笑った。


私はあの時、本当は虹の向こうに、何があるのか知りたかったんだ。


君はきっと永遠に覚めない夢を見ているのかな。


ねぇ、なんの夢を見てるの?


私、出てる?


どんな顔してる?


いつもみたく…笑ってる?


あの虹はだんだんと、消えていったけれど、君は一瞬で消えてしまった。


死んだ人は生きた人の心の中で生きてるとか言うけれど、


そんな気休め、私には意味がない。


思い出って何。


毎晩、寝ようと思ってまぶたを閉じると、浮かぶのは君の笑顔。


君の笑顔が苦しくて直視できなくて、慌てて目を開ける。


目線の先には天井。


君は消えた。


あの時と同じように、消えた。


そして再びまぶたを閉じる。


閉じたまぶたをこじ開けるかのように溢れ出すのは、涙。


なんだ、私、泣けるじゃん。


あの虹の向こうには、きっと、永遠に終わらない何かが、ある。


きっと、君は、そこにいる。


君と見たあの七色の虹を越えることが出来たら…たどり着けるね君の所へ。



























君無しで、




私はどうやって生きたらいいんだろう




どうやって…というか、そもそも生と死の違いって何?




話す、




笑う、




2ケツする、




指きりをする。




黙る、




動かなくなる、




無視される、




冷たくなる。




だんだん、呼吸の仕方も判らなくなってきたよ



























約束、まだ果たしてないよ…





























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